ディズニーの素晴らしき世界

毎年、家族でディズニーリゾートに行くのをとても楽しみにしており、訪れると一週間程は、夢見心地な気持ちで過ごす。ジェットコースターやミッキーマウスが好きでない人にも、東京ディズニーランドとディズニーシーが持つ様々な楽しみ方について紹介したい。ディズニーのテーマパークはポップカルチャーの博物館とも言える。友人である50歳のアーティストは、『タワー・オブ・テラー』(億万長者のアートコレクターが、ニューヨークのホテルで行方不明になってしまう)のデザインを手がけるのが夢だと語っていた。ベルボーイの衣装が10万円もする。ディズニーが、ファンタジーの世界を作るのに細かいところまで惜しみないお金を費やしていることがわかる。『インディ・ジョーンズ・アドベンチャー/クリスタルスカルの魔宮』では、ジェットコースターの急降下やターン以上に、子供たちは、洞窟の周りにある頭蓋骨を怖がっていた。『センター・オブ・ジ・アース』では、激しい振動の中、赤とオレンジ色の明かりの中を進んで行くと、冷房の良く効いた場所であるにも関わらず、マグマの熱を感じるようだった。
ディズニーのブランドが、必ずしもすべてを成功に導く訳ではない。ディズニーのテーマパークのいくつかは、財政難に苦しみ、訪問客からの批判に晒されている。ディズニーランド・パリは、2007年、20億ドルの負債を抱え、ディズニーランド香港は、伸び悩む訪問客数に苦しむ。舞浜にある東京ディズニーランドも東京ディズニーシーも、大変成功している。舞浜にある二つのテーマパークは、2008年、2,720万人の集客があった。訪れる人の50%が、10回以上訪れたことのあるリピーターである。
ディズニーのテーマパークにまだ不慣れな人には、アトラクションを満遍なく楽しめるファスト・パスというシステムがある。待ち時間を緩和するため、ディズニーのテーマパークには、二つのエントランスがある。通常のエントランスでは、待ち時間が二時間以上なんていうのはざらである。
しかし、ファスト・パスを使えば、ほとんど待たずにアトラクションを楽しむことができる。人気のあるアトラクションの前にある発券所でパスポートを差し込み、利用時間が記入されたファスト・パスチケットを発券する。その時間に、アトラクションのファスト・パスレーンから入れば、待つことなしに、アトラクションを楽しむことができる。人気のあるアトラクションには、ファスト・パスを使い、あまり人気のないアトラクションでは、通常のレーンに並べば、一日でほとんどのアトラクションを楽しむことができる。

ディズニーランド・ガイド

ファスト・パスチケットで、一日で大体4つのアトラクションを楽しむことができる。最初のファスト・パスチケットの発券から、約45分待たないと、次のファスト・パスチケットを発券してもらえないからだ。(注意: 週末や休日の通常の待ち時間は耐え難いものがある。トイレに始まり、レストランなど、長蛇の列はあちこちで見られる。お昼過ぎにファスト・パスを発券してもらうと、時間が午後6時を過ぎることもある。条件が許せば、平日に訪れるのが良いだろう。)
ディズニーランドでは、二つのファスト・パスを比較的新しいアトラクション、『ビッグ・サンダー・マウンテン』と『スプラッシュ・マウンテン』に使うと良いだろう。ピクサー映画で人気の『バズ・ライトイヤーのアストロブラスター』や『モンスターズ・インク“ライド&ゴーシーク』も必見である。
小さいお子様連れの方やジェットコースターは苦手という方には、『ビッグ・サンダー・マウンテン』の代わりに楽しい体験ができる『プーさんのハニーハント』がお勧めだ。家族やカップルにも人気のアトラクションだ。
『スペース・マウンテン』や『ホーンテッドマンション』は、これらのアトラクションにくらべると、短い待ち時間で楽しめる。列の長さがそれ程長くなければ、通常ラインで待つのも良いであろう。あまり長くない列に並ぶのも一つの手である。『カリブの海賊』はスリリングである。『トゥーンタウンエリア』は歩くだけでも楽しい。3D映像が楽しめる『ミクロアドベンチャー!』も必見だ。ディズニー映画『ジャイアント・ベビー』で活躍したザリンスキー博士が登場する。
『魅惑のチキルーム: スティッチ・プレゼンツ “アロハ・エ・コモ・マイ!”』では、リロとスティッチのショーを着席で楽しめる。

ディズニーシー・ガイド

東京ディズニーシーには、27のアトラクションがある。(ちなみに、東京ディズニーランドには40のアトラクションがある)大人である私としては、海がテーマのディズニーシーがお気に入りだ。ディズニーランドのアトラクションの中には、私が生きてきたよりも古いアトラクションがある。ディズニーシーには、他のどの遊園地よりも品位があり、大人向けの感じがする。
私が、いつもディズニーシーでファスト・パスチケットを予約するアトラクションは、『タワー・オブ・テラー』、『インディ・ジョーンズ・アドベンチャーズ: クリスタルスカルの魔宮』、そして、『センター・オブ・ジ・アース』である。最後のファスト・パスには、『レイジングスピリッツ』を予約する。『ストームライダー』も人気のヴァーチャル・リアリティーを楽しめる乗り物であるが、乗った後に気分が悪くなってしまうので、避けている。
『マーメイドラグーンシアター』も『マジックランプシアター』も素晴らしいエンターテイメントが楽しめるが、ファスト・パスは使わない。『マーメイドラグーンシアター』の収容人数は720人なので、平日はそれほど待たずに楽しめる。『マジックランプシアター』は、『マーメイドラグーンシアター』より規模は小さいが、たいてい15分以内に入れる。二つのシアターでは、外国語の字幕システムがある。私の好きなショーは、『ミスティックリズム』で、炎と水を使ったアクションショーとジャングル・ダンスを楽しめる。ファスト・パスは使わず、30分で入場できる。しかし、『ミスティックリズム』ショーの最終公演時間は午後5時なので、なるべく早く行くと良いだろう。
『マーメイドラグーン』エリアに行くのは、日が暮れた後が最適だ。子供の多いエリアなので、午後6時以降は、子供連れの家族は帰路に着き、人が減る。このエリアは、ディズニーのテーマパークの魅力が、乗り物だけにあるのではないことを教えてくれる。壮大な水中のおとぎの国を見事に再現している。私の家族は、トリトンの王国を訪れたいばかりに、『ジャンピン・ジェリーフィッシュ』や『ブローフィッシュ・バルーンレース』を訪れる。
『ブラヴィッシーモ!』は、夜に行われる水と光のショーである。残念ながら、今年の11月に終わってしまう。次のショーに期待だ。ショーは、7時頃(週末は8時)に始まり、15分の華やかなショーは、一日の締めくくりに相応しい。ポップコーンを買って、良い席を取っておこう。ショーの後に、メディテレーニアンハーバーで夕食にパスタやピザを食べるのも良いだろう。急げば、それほど並ばずにすむ。

ミッキーマウスと一緒に写真を撮るには、最低でも45分は待たなければならない。しかし、私はそれほどディズニーのキャラクターには興味がない。ディズニーのキャラクターのショーも避ける傾向にあったが、ミッキーとその仲間たちが出演する『レジェンド・オブ・ミシカ』は好きなショーの一つである。しかし、このショーは毎日一公演しかせず、チケットも抽選なので、なかなか見る機会がないのが残念だ。

その他の情報

6月30日まで、ディズニーシーでは『スプリング・カーニバル』を、ディズニーランドでは『ディズニー・イースター・ワンダーランド』を実施中である。
二つのテーマパークでは、二種類のディスカウントチケットを発売している。「スターライトパスポート」は、午後3時以降のほとんどの週末・祝日で利用が可能である。「1デーパスポート」より1,100円安いが、私はこれをあまりお勧めしない。半日を見逃してしまうし、ファスト・パスチケットの予約受付は午後4時頃に終わってしまうので、長い列に並ぶことになる。「アフター6パスポート」は3,100円だが、金曜の夜に楽しみたいカップルには良いだろう。しかし、アトラクションに乗るのに、1時間は待つ覚悟が必要だ。閉演までの4時間で、一つのショーを見て、二つの乗り物を楽しみ、夕食を取るのは可能だ。気候が暖かくなってくると、夜を外で過ごすのは気持ち良いだろう。ディズニーシーは特にロマンティックである。
二つのディズニーのテーマパークの隣には、シルク・ドゥ・ソレイユ・シアター東京『ZED』とショッピングモール『イクスピアリ』がある。浦安駅の近くには、『大江戸温泉物語 浦安万華郷』がある。お台場にある『大江戸温泉物語』より規模が大きく、家族からカップルまで楽しめる。
舞浜では一泊するのが通である。最高級ホテルとして有名なのは、ディズニーランドへ直通の東京ディズニーランドホテルとディズニーシーの敷地内にある東京ディズニーシー・ホテルミ無料のシャトルバスでテーマパークに行けるホテルが5つ建ち並ぶ。舞浜は、フロリダのオーランドには及ばないが、アジア最大級のエンターテイメントが楽しめるテーマパークと言えよう。

Story by Carol Hui
J SELECT Magazine, May 2010 掲載
【訳: 青木真由子】