西麻布の隠れ家鮨店 鮨やま田

西麻布交差点から程近くに、カウンター7席の隠れ家のような鮨屋「鮨やま田」が2021年1月13日にオープンした。店を切り盛りするのは、16歳から料理の道一筋、大阪北新地の予約が取れない名店で腕を磨いて来た27歳の若き大将、金光将輝氏。赤酢を使ったシャリが特徴的な、おまかせコース(¥20,000)を提供する。おまかせコースは月替りで、旬の食材を使ったお料理7品、寿司12貫を中心に約20品。金光氏は「東京にはあまりない関西風の甘めのシャリで勝負したいと思っています。あっさりとして食べ疲れない赤酢のシャリとネタ合わせて、口あたりのやさしいお鮨を堪能いただきたい」と語る。赤酢のシャリは酸味が強い場合が多いが、鮨やま田のシャリは程よい甘さで食べやすい。

アテとなるお料理と握りを交互に、お酒と共に楽しめるスタイルなので、日本酒ペアリング(¥10,000)かワインペアリング(¥10,000)を是非とも注文して欲しい。日本酒ペアリングでは、純米吟醸 弥山(広島県)や純米吟醸 飛露喜(福島県)、純米大吟醸 田酒(青森県)など、鮨によく合う銘酒を取り揃える。ワインペアリングは、ソムリエセレクトの国産オーガニックワインを中心にラインアップしている。

 

 

 

 

 

 

 

睦月のおまかせコースを一例として紹介しよう。

目の前で大将の丁寧な手仕事を眺めていると、ペアリング最初の酒、戦勝政宗が用意された。コースの最初はイサキの握り。まろやかな甘さがある赤酢シャリの握りだ。最初のアテの柿なますは、睦月ということで正月らしい食材を使い、干し柿の酸味が良いアクセントになっている。

一品料理の次はまた握りと、アテと交互に提供されるのが面白い。アオリイカの握りは、新鮮で透明なイカに細かく切れ目を入れ、ふわっとした柔らかい食感が素晴らしい。松葉蟹と毛蟹をほぐし混ぜた合わせた握りは、蟹の風味が良い。次のお料理は揚げ物で、甘鯛と枝豆の天ぷらに月光百合根の滑らかさが絶妙である。次の握りは鯛の昆布締め。そして美しい彩りの一品は、ミル貝と菜の花の辛子酢味噌。合わせる日本酒は純米吟醸 弥山。握りは小肌。

お料理の間に握りが入るので、鮨を食しているという感覚がより増す。大将は出汁醤油に鮪を漬けたり、クエを捌いたり、次の料理の準備をしている。何が出てくるのかというワクワク感がたまらない。海老芋このこ掛けは、なまこの塩味がまろやかな食感の海老芋と合う。日本酒は純米吟醸 飛露喜、握りは鮨のテッパン、照りの良い漬け鮪と大トロ。ちょうど良いタイミングで、クエと黄ニラとちぢみ雪菜のしゃぶしゃぶが器に盛られた。クエは2種類、じっくりと火を通した物とサッと湯通しした物で食べ比べが出来る。黄ニラが味にも食感にも良いアクセントだ。

木箱が運ばれて、次は雲丹の鮨だ。シャリと雲丹の間の青海苔が、香り高く雲丹の旨味が引き立つ。鰆の蕪蒸しはやさしい味わいだ。鯖の鮨は、大将が海苔に挟んで手渡ししてくれる。香ばしい海苔と鯖の相性が良い。次の日本酒は田酒の純米大吟醸。コースも終盤に差し掛かり、焼き物は真魚鰹の西京焼き。〆は握り2貫で、煮牡蠣と穴子。寒い日に体の芯から温まる粕汁と、甘味は餡子もち。鮨と旬の一品と日本酒を堪能できた。如月、弥生、卯月と、四季折々のコース内容が楽しみである。

 

 

 

 

 

 

 

大将の金光氏は「若手職人の独立開業の可能性を追求していきたい」という展望を持つ株式会社S.H.Nの店舗展開像に共鳴し、若手職人の独立支援の第一店舗目として、当店の開業と至った。株式会社S.H.Nとしては、鮨やまけん2店舗に次いで、3店舗目の高級鮨店となる。店名の由来はサントリーの山田賢二社長だ。株式会社S.H.Nは、今後も差別化を図った業態で独立開業の可能性を追求していくという。関西出身の若き大将の東京での活躍に期待したい。

店名:鮨やま田
住所:東京都港区西麻布4丁目2 エルファーストビル
アクセス:西麻布交差点から徒歩2分。外苑西通り沿い、ENEOS斜め前1階にセンチュリー21が入居しているビルの地下1階。広尾駅より徒歩10分。
席数:カウンター7席
Tele:03-6805-1578
営業時間:6pm~11pm (2部制:1部6pm~ / 2部8:30pm~)
*現在、緊急事態宣言により1部のみの営業となります。