ドンペリで乾杯できるラグジュアリーな江戸前焼鳥店「赤坂 鳥結」

赤坂サカスの目の前にある、隠れ家のようなラグジュアリーな焼鳥店、鳥結(とりゆい)。2021年3月にToriya Premiumからリニューアル、鳥結として生まれ変わった。銀座にある姉妹店は「焼鳥×ワイン」業態の草分け的存在として知られ、「ミシュランガイド東京 ビブグルマン」(2015年)を獲得した系列店も擁する。白とベージュを基調とした店内は落ち着いた雰囲気で、カウンター席とテーブル席がある。テーブル席は簾がパーテーションになり、白いクロスがかけられ、ゆったりと食事を楽しめる。板前が串を焼き上げる様子を眺められるカウンター席も乙だ。焼鳥店とはいえ、高級感あふれる内装で、デートや接待、大切な方とのお食事にもお勧めだ。

鳥結が他の焼鳥店と一線を画すのが、ソムリエによる絶品のペアリングである。世界各国より取り寄せた希少ワインや自然派ワインなど、約200種類を取り揃え、料理に彩りを添えてくれる。鳥結コースは、17品の料理と7杯のペアリング付きのコースが¥18,000(税サ込)、料理のみのコースは¥10,000(税サ込)だ。季節やその日の仕入れによる日替わり串と、定番の献立がある。ペアリングはドン・ペリニヨンから始まり、白ワインと赤ワインが各3杯ずつ。ドンペリが含まれていて7杯で¥8,000とは良いコストパフォーマンスだ。料理2品に1杯のペースでペアリングをしてくれる。焼鳥は秋田の契約農場から直送される比内地鶏や、栃木県の銘柄鶏・香鶏がメインだ。比内地鶏は150日以上飼育し産卵期を迎える直前の一番脂がのった雌鳥のみを、香鶏は肉質とジューシーさのバランスを重視して90日育成されたものを厳選している。適度に熟成した焼鳥の様々な部位を、毎日1本1本丁寧に串打ちし、熟練の焼き手がイタリア・シチリア産岩塩を手振りで絶妙な塩加減に仕上げながら、最高級の紀州備長炭細丸で焼き上げる。ワインに合うように、もも肉は蜂蜜オレンジに漬け込んだり、砂肝はローズマリーで風味付けしたりと、“江戸前焼”で趣向を凝らしているのが特徴の一つだ。

鳥結でのペアリング体験は、素晴らしい。3月下旬に取材に行った際のコースを一例として紹介しよう。

鳥結ペアリングコース 17品の料理と7杯 ¥18,000(税サ込)

まずは
《ドン・ペリニオン 2012 ヴィンテージ》で乾杯。

【本日の牡蠣】
広島産のバージンオイスター2個。小ぶりだけど瑞々しさにこだわっている。素材ごとに各種用意している塩があり、生牡蠣は「砂漠の塩」とシェリービネガーで食べ比べ。

【鶏はらみのおでん】
鶏はらみは噛みごたえがあり、しっかりとした食感。出汁も美味で完飲。

 

 

 

 

 

 

 

 

《Dupéré Barrera Côtes de Provence Nowat Blanc 2020 コート・ド・プロヴァンス ノワット ブラン》
最初の白ワインだ。香りが素晴らしく、洋梨や完熟した林檎、桃などの芳醇な果実香に硬質なミネラルのニュアンス。

【比内地鶏と香鶏のだきみ 桜塩添え】
一串で2種類の地鶏を味わえる。備長炭の香りが立ち込め、肉の旨味が凝集しており、美味しい。鳥結の焼鳥串には、日替わりで料理を楽しくする添え物がある。この日は淡い紅色をした桜塩だった。

【香鶏のもも串 花山葵の醤油漬け添え】
ジューシーな香鶏の上もも。一般的な鶏肉は飼育30日で出荷となるが、香鶏は90日間、弾力のある鶏肉になる。

 

 

 

 

 

 

《Grove Mill Marlborough Pinot Gris グローブ・ミル・マールボロ・ピノグリ》
2種類目の白ワインは、ニュージーランド産のピノグリ。今まで飲んだワインのベスト3に入ると言っても過言ではない。香り高くフレッシュな梨やスパイスの香りが漂い、豊かな骨格もあり素晴らしい。

【比内地鶏と香鶏の手羽先 そら豆添え】
玉ねぎに漬け込んでから焼き上げており、酵素の力で肉が柔らかく仕上がる。

【かぶの串焼き】
群馬県産の「あやめゆきかぶ」は皮が薄紫色の蕪。比内地鶏のささみを昆布でしめて乾燥させた自家製鶏節と共にいただく。

 

 

 

 

 

 

 

《豊能梅×エーデルワイン FUSION 2021 “Lovely” 2nd》
白ワイン3種類目で、ユニークな日本酒を出してくれた。岩手県にあるワイナリー「エーデルワイン」でキャンベルを熟成させるために使用していたワイン樽を、高知県の銘酒「豊能梅」を醸す高木酒造に送り、日本酒を入れて58日間熟。淡いピンク色がキレイな日本酒だ。日本酒・ワイン・樽の3つが見事に調和し、融合した、一樽限定のコラボ酒である。

【情熱卵を添えたたれつくね】
群馬県産の色の濃い卵黄は少しつついても破れない弾力がある。黄身をまとったつくねは、まろやかな味わいに変わる。

【有機野菜のグリーンサラダ】
箸休めのサラダは紅芯大根、さつまいも、人参、ハーブなどをシンプルにオリーブオイルと塩で味付け。

 

 

 

 

 

 

 

《Grande Polaire 余市ピノ・ノワール2017》
ここからは赤ワインのペアリングが始まる。輝きのあるルビーレッド、スミレやいちごを想わせる華やかなアロマと、柔らかなタンニン、ビロードのように滑らかな余韻がある。

【比内地鶏もも肉 柚子胡椒添え】
ジューシーで肉の味わいが強いもも肉。辛すぎない自家製柚子胡椒は香りが良い。

【比内地鶏砂肝 菜の花の辛子和え】
弾ける食感の新鮮な砂肝は、砂肝の概念が変わるほどのジューシーさ。ローズマリーの香りが口に広がる。

 

 

 

 

 

 

 

《穂坂日之城 カベルネ&メルロー 遅摘み 2018年》
赤ワイン2種類目。ヴィンテージを冠した長期熟成型の赤ワイン。柔らかく華やかなブラックチェリーや黒系果実のリキュール、ハーブといった香りに、樽由来のこうばしいロースト香、チョコレートのニュアンスが調和。果実味に富んだ凝縮感があり、ふくらみのある口当たりが印象的。

【比内地鶏ちょうちん】
半熟のちょうちん、黒トリュフのスライスと一緒に一口でいただきます。

【燻製串 クレソンのお浸し添え】
りんごの木で燻製したぼんじり、肉の旨味たっぷり。

 

 

 

 

 

 

 

《ファン・ヒル クアトロ・メセス サクラ・ラベル 2019》
赤ワイン3種類目。スペイン、ファン・ヒルのワイナリーには桜の木があり、オーナーが桜並木を初めて通りがかった際に、あまりの美しさに感動して造られたという桜の木を配した特別ラベル。スペインの黒ぶどう、モナストレルを100%使用、フランスではムールヴェドルと呼ばれる。

【比内地鶏肝の串 ニラ添え】
ハツとレバーの2種類が楽しめる。

【鴨肉の塩つくねと北海道産鴨肉のメインディッシュ マッシュポテト添え】
レッドペッパーとドライフルーツが良いアクセント、なめらかな食感のマッシュポテトとフォンドボーとマデラ酒のソースがよく合う。

 

 

 

 

 

 

 

【ジャークチキンカレー】
〆はカレー!上に乗っているウズラの卵の甘酢漬けがアクセント、スパイスの効いたジャークチキンをターメリックライスとともに。

【本日のデザート】
鳥結は記念日にぜひ利用してほしい。サプライズのバースデープレートはジェラード、ケーキが盛り付けられ、嬉しさに思わず声をあげてしまう。

【食後の飲み物】
ハーブティーかコーヒー

 

 

 

 

 

 

 

鳥結ペアリングコースを堪能。こんなに楽しく印象的なペアリングは、なかなかお目にかかれない。ソムリエでもある柿崎店長の穏やかなお人柄にファンが多いのもうなずける。レアなワインが多く、いろいろな地鶏、様々な部位を、独自の調理技術「江戸前焼き」で焼き上げた焼鳥の数々。おもてなしの心溢れる「赤坂 鳥結」、何度も通いたくなる名店である。

店舗情報
店名: 赤坂 鳥結 (旧店名:Toriya Premium)
住所: 東京都港区赤坂3-14-7 UNI赤坂 2F
アクセス: 地下鉄千代田線 赤坂駅 1番出口 徒歩1分。地下鉄 赤坂見附駅 徒歩5分
Tel: 050-3188-1466(要予約)
席数: 24~26席 (カウンターとテーブル席)
営業時間: 月~土 5pm-11pm (LO 10pm)
定休日: 日曜、祝日