千葉万歳!

埼玉県は、高度は高くないが美しい山やきれいな川があるが、海辺がないのでレクリエーションの規模からすると劣る。神奈川県は海辺や緩やかな丘に恵まれているが、週末は混み合うし、物価は高い。千葉県は相対的な面白さからすると、行ってみたい所である。

青色の千葉

銚子は太平洋に面している千葉県の最も東に位置する漁村である。総武線又は車で東京から約2時間半のところにあり、この面白い海辺の町はまさに行ってみる価値がある。
銚子を楽しむのには早朝に出発して、忙しいさなかの魚市場を見てみたい。魚市場は3つあり、早朝に開くマグロやタコ、サメなど大型魚の第一市場がある。7時頃が最も忙しく9時頃には終わってしまう。日帰り旅行でこれに間に合わせるのは難しいかもしれない。銚子には、もう少し規模が小さく、近海でとれる中型魚の市場もある。
この第二市場は、第一市場が終わる頃から始まり、昼頃まで続く。市場は屋根付きの野外で開かれる。ここでは数百の黄色いトレイがきちんと並べられている。登録されたバイヤーが魚を綿密にチェックし、タバコをふかしながら、セリ値を紙に走り書きする。仲売人が濡れた紙を選り分けて落札者を決める。築地市場のように、騒々しいセリ市場ではなく、銚子のセリ市場は静かである。さらに良いことに、ここで働く人々は皆フレンドリーである。築地では、忙しい時間帯に旅行者が押し掛けると訪問者に対して極端に冷淡になる。しかし、銚子では、彼らの取引を見せたり、一緒に写真を撮ったりすることをむしろ歓迎する。
見学しているうちに、鮮魚が食欲を刺激する。多くの旅行者は、銚子ランドマークの港タワーで、食事や土産物屋に立ち寄る。しかし、美味しい現地での鮮魚は町の中の方が良いかもしれない。銚子駅周辺には沢山の海産物レストランがある。私はご飯と一緒にマリネード漬けマンボウ刺身を食べてみた。珍しい収穫物で、この日の特別料理だった。マンボウの味はマグロの赤身と似ているが、少し筋っぽい。穴子寿司は身が締まっていて、美味だった。また 地元で獲れた刺身は格別においしかった。
銚子の町から車で少し行ったところに日本の最東端にある犬吠埼灯台がある。この灯台は2008年に役割を終え、現在は観光客向け施設として再オープンしている。灯台の上まで登ることができ、太平洋を一望することが出来る。案内書によると、角から水平線を見ると地球が丸く見えるという。だが、訪れた日は霧がかかっていたせいか、水平にしか見えなかった。しかし、灯台の上に登って海を見渡して見ると、自分がまるで海に突き出しているかのように感じる。
酉明浦ビーチは、灯台に隣接した長い砂浜である。9月の好天気の週末でさえ、ひと握りのサーファーや地元の大型犬が数匹散歩しているだけである。子供達が遊び戯れる様子や打ち寄せる白波を眺めていると、ここが喧騒とした東京から離れた別世界なのだと実感する。ビーチから通りを横切ると京成ホテルがあり温泉に入ることができる。砂と海水を洗い流すのに良い。
銚子には、文化、素晴らしい風景、砂浜での遊び、温泉での癒し、新鮮な海産物など何でもあり、理想的な日帰り旅行ができる。一日を十二分に活用するため、早朝に出発しよう。

緑色の千葉

私のように東京—成田間の乗車中に、緑の千葉を堪能した人は少ないかも知れない。田んぼが広がる風景を通り過ぎると、並木道が目に優しく入ってくる。田舎の千葉は、実に緑にあふれている。千葉はまた、様々な年齢に応じた3つの森林公園の発祥地でもある。
ターザニアは、大人と家族がジップラインを楽しめる冒険型公園である。ジップラインとは、新しい形の野外娯楽設備である。鉄のケーブルに付けられた自由に動くベルト車から出来ている。乗り手は引き具によってベルト車にホックで留められ、スタート地点から重力でより低い地点へとすべる。雨林の天蓋のような離れた場所に近づく手段として最初は使われていたが、やがて、ヨーロッパや北米で大衆的な娯楽設備として使われるようになった。
ターザニアには2つのコースがある。一つはディスカバリーコースと呼ばれ、家族向けに作られているが、子供は身長110cm以上ないと乗れない。もう一つの大人向けの冒険コースに乗るには、身長が140cm以上なければ乗れない。このコースは、ロープ梯子を登ったりするような冒険的な要素が含まれていたり、いろいろな障害物が待ち構えていたりする。ターザニアには、6つの異なった乗り物がある。いくつかは風景明媚な景色が楽しめ、他はスリリングな経験を味わえる。決してスポーツマンである必要は無いが、ロープ梯子を登ったり、トンネルのなかを這ったりするので、まあまあの体型でなくてはならない。世界中の多くの場所にあるジップラインのある冒険型公園は、会社のチームワーク形成や働くモチベーション向上など、人々が新しいことにチャレンジすることによってお互いに勇気づけ合い、結束するためなどに使われることも多い。
ターザニアは生命の森リゾートと同じ敷地内にある。世界クラスの訓練施設で、オリンピックサイズの水泳プール、400メートルトラック、テニスコートがある。スポーツ施設には室内プールやエアロビクス施設などもある。更に、ゴルフコースやゲーリープレイヤーゴルフアカデミーも隣接している。もし日帰り旅行を週末旅行に予定変更したいのなら、敷地内に大人数向けのホテルやコテッジもある。明らかにここには、人々を夢中にさせ、退屈させない数々のスポーツ施設がある。
成田空港の近くには運動の森自然公園がある。家族向けのレクリエーション公園である。日本では、「フィールド・アスレチック」と呼ばれる野外障害物コースが、人気がある。この公園は6歳から15歳の子供向けであるが、親も飽きさせないような工夫が凝らされている。ミニゴルフでは、首尾よく障害物をクリアーするとポイントが得られるスコアカードが与えられる。この公園の見所はウオーターハザードエリアで、水に濡れてしまうだろうから、着替えを持参した方が良い。活動的な家族にとって、存分に楽しめるだろう。
船橋市にあるふなばしアンデルセン公園は、年齢問わず、アウトドア派にもインドア派にも楽しめる。国営昭和記念公園や小金井公園に行ったことがあるなら、この公園と比較してみるのも面白いかも知れない。敷地面積では小さいかも知れないが、数多くの娯楽施設がある。
ハンス・クリスチャン・アンデルセンにちなんで名付けられたこの公園は、妖精の国の世界を醸し出す。週末には家族連れで賑わうが、カップルのデートスポットとしても人気がある。人工池でボートを漕いだり、貸し自転車でサイクリングしたりするのはとても楽しい経験となることであろう。しかし、それはどこの公園でもありきたりのものだ。ここでの特徴は、公園のクラフトゾーンにある。自分だけの記念品を手作りすることができるのだ。粘土から菓子皿を作ったり、絞り染めハンカチを作ったり、大人にとっても満足のいく時間を過ごすことができる。
ここの中高年の地元の皆さんは、週末に風景を楽しんだり、アトリエでいろいろな工芸品作りに挑戦したりして楽しんでいる。実際、クラフトゾーンは子供の遊びを超えている。いつでも、ガラス工芸、木工、織物などのワークショップが開かれている。また、ふなばしアンデルセン公園では、良く訪れる人々に年間パスや、65歳以上の高齢者の入場無料などのサービスを提供している。60代のある女性は、少なくとも1ヶ月に1回はアンデルセン公園に来るそうだ。「ここは1年中美しい花が植わっていて、散歩するのには素晴らしい場所ですね。でも、私はいつも陶芸をしに来ます。ろくろの使い方を学びましたし、クリスマスツリーの可愛い手作りの飾りも作れました。コミュニティセンターのコースは早く満員になってしまうし、個人レッスンは高すぎます。クラフトゾーンで作業している皆は若々しく元気ですよ。この場所は、中高年者にとって隠された宝物のような場所と言えるでしょう」
海のそばの千葉は青色、そして、陸は緑色。お好み次第で、千葉はあなたの週末を好きな方法であなた色に染めてくれることであろう。

Story by Carol Hui
J SELECT Magazine, April 2010 掲載
【訳: 青木真由子】